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心療内科で社交不安障害と診断された方|社交不安障害を「脳と神経の働き」から読み解く

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心療内科で社交不安障害と診断された方|社交不安障害を「脳と神経の働き」から読み解く



けんこうカイロプラクティックセンター 岩崎久弥の視点から



人前で話すとき、緊張して声が震えたり、顔が赤くなったり、手に汗をかいたりする――。こうした反応は、誰にでもある自然な「防衛反応」です。しかし、この反応が過剰に起こり、日常生活に支障をきたしてしまう状態を「社交不安障害(Social Anxiety Disorder)」と呼びます。



私は、この状態を「心の問題」ではなく、「脳と自律神経のバランスの問題」として捉えて施術を行います。

生まれてすぐに、社交不安障害になる人はいません。あなたは、いつから社交不安障害に悩んでいますか?

この悩みを抱くようになった時期の前後に原因があると私が考えています。



脳のネットワークが引き起こす“誤作動アラーム





人の脳は、環境を感じ取り、状況に合わせて身体を調整する「ネットワークの司令塔」です。社交不安障害では、このネットワークの一部が過敏になり、まるで“火災報知器が鳴りっぱなし”のような状態になります。

特に関係が深いのが、扁桃体(へんとうたい)と前頭前野(ぜんとうぜんや)です。扁桃体は「危険を察知して身体を守る警報装置」、前頭前野は「冷静に判断して行動を抑えるブレーキ」です。



通常はこの2つのバランスが取れており、危険を感じたときも前頭前野が「大丈夫」と落ち着かせてくれます。しかし社交不安障害では、扁桃体が過敏になり、前頭前野の抑制が効かなくなるため、実際には安全な状況でも「人の目が怖い」「恥をかくかもしれない」といった危険信号が過剰に発動してしまうのです。



自律神経のスイッチが切り替わらない

脳の過敏な反応は、自律神経系にも影響を及ぼします。

本来、交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)はシーソーのようにバランスを取り合っています。



しかし、不安が強い状態では交感神経が優位になり、身体は「常に戦闘モード」

心拍数が上がり、血圧が高くなり、胃腸の働きが抑えられ、息が浅くなります。

この状態が長く続くと、脳は「常に危険が迫っている」と誤認し、安心する時間がなくなります。つまり、“不安が不安を呼ぶ”負のループができてしまうのです。



脳幹・小脳・前庭系の働きとの関係



けんこうカイロプラクティックセンターでは、社交不安障害を「高次脳の不均衡」だけでなく、脳幹や小脳、前庭系の機能の偏りとしても捉えます。

例えば、脳幹の青斑核はノルアドレナリンという神経伝達物質を出して、覚醒や緊張を調整しています。この部分が過剰に活動すると、ちょっとした刺激でも身体が過敏に反応してしまいます。

また、小脳は「運動の調整」だけでなく、「感情の安定」にも関わっており、左右どちらかの小脳がうまく働かないと、感情の制御が不安定になりやすくなります。

さらに、前庭系(平衡感覚)に異常があると、姿勢の不安定さが脳の緊張反応を高め、結果的に不安感を助長することがあります。



実は、私は最近にこの小脳の働きを知りました。

小脳の働き
機能的MRIやPETを用いた研究では、感情刺激(怒り・驚き・笑い等)や情動学習(恐怖条件づけなど)のタスク中に、小脳が活性化するという報告があります。

 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3311856/?utm_source=chatgpt.com より




けんこうカイロプラクティックセンター的アプローチ:脳のバランスを再教育する



カイロプラクティックの施術の中でも、アクティベータ・メソッドや前庭刺激、眼球運動トレーニングなどを用いることで、過敏な神経回路を落ち着かせ、左右の脳のバランスを整えることができます。

たとえば、

✅️アクティベータによる精密な刺激で、脊髄レベルの感覚入力を調整し、脳幹の過敏性を緩和する。



✅️前庭系への軽い頭部運動で、小脳と前頭前野の協調を促す。

✅️呼吸トレーニングで迷走神経(副交感神経)を活性化させ、リラックスのスイッチを入れる。



こうしたアプローチにより、「過剰な防衛モード」から「安心して社会と関わるモード」への切り替えを助けることができます。





「心の問題」から「神経の学習」へ

社交不安障害は「気の持ちよう」ではありません。脳と神経のシステムが一時的にアンバランスになり、“誤った学習”をしている状態なのです。

けんこうカイロプラクティックセンターの施術の目的は、薬で抑えることではなく、神経の働きを「再教育」し、本来の柔軟で安定した脳機能を取り戻すことです。

少しずつ神経が正しいフィードバックを学び直していくと、心も体も連動して穏やかに変化していきます。 それはちょうど、狂った時計の針をゆっくりと正しいリズムに戻していくようなもの。



まとめ

社交不安障害は「心が弱い」のではなく、「脳が勘違いした動作を起こしている」状態です。

機能神経学的な視点では、脳と神経のネットワークを整えることで、自律神経のバランスを回復させ、安心して人と関われる神経環境を再構築することが可能です。



その第一歩は、「自分の脳と体の声を聞くこと」。 安心できる環境で、少しずつ神経のバランスを整えていくことで、“自分らしい笑顔”を取り戻していけるのです。
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